ご挨拶

学校長 東條 克能

学校長 東條 克能

日本に近代看護教育を始めたのは慈恵看護専門学校の創設者である高木兼寛でした。看護の重要性を認識していた高木は「医師と看護婦は車の両輪の如し」という有名な言葉を残しています。この言葉には、高木が英国ロンドンのセント・トーマス病院医学校に留学していた折、「患者さんをひとりの人間として尊重し、相手の立場にたった患者さん主体の看護を提供する」という看護の専門職としての重要性を初めて唱えたナイチンゲールの思想から大きな影響を受けたことが窺われます。5年間の留学から帰国した高木は、1881年、東京慈恵会医科大学の前身である成医会講習所を創立するとともに看護婦教育にも着手し、1885年、当時慈善病院として設立されていた有志共立東京病院に看護婦教育所を併設しました。これが慈恵看護専門学校の前身であり、我が国最古の最も伝統ある看護婦養成所であり、以来今日まで136年の歴史を有し、多くの卒業生に良き伝統が受け継がれ今日に至っています。建学の精神である「病気を診ずして病人を診よ」という全人的な医療を基盤に、ナイチンゲールの考えに基づき「看護とは生命力の消耗を最小にするよう生活過程を整えること」と捉え、患者さんをひとりの人間として尊重し、相手の立場にたった患者さん主体の看護を提供する。
看護の専門職として、より質の高い看護を目指して自己研鑽に努め、医療・看護の発展に貢献することを慈恵の看護の基本方針として、日々診療に当たっているわけです。現代の医療では患者さんとの信頼関係の構築を基本に、医師、看護師をはじめとする多くの医療職が協力して医療に携わるというチーム医療が根付いています。その中で患者さんと最も接する機会の多い看護師の果たすべき役割は年々重要性を増しています。

慈恵看護専門学校は、長い伝統に支えられつつもそれに甘んじることなく、教育体制の充実を図るとともに、高い職業意識をもつ看護師の養成を目指して、教職員一同力を合わせて努力しております。実習病院は東京慈恵会医科大学附属病院であり、建学の精神を共有する恵まれた環境の中で看護を学ぶことができるのも大きな特徴になっています。ぜひ慈恵看護専門学校に入学し、看護の道を目指して頂きたいと心から願っております。

副校長 桶土井 清美

副校長 上間 ゆき子

看護は、人がこの世に誕生してから死を迎えるまでに直面する健康のあらゆる段階の問題を人々が解決しようとするプロセスに対して、その人らしい生活をおくることができるように援助する活動です。

少子超高齢化といわれる日本の社会には、慢性的な疾患や障害を抱えながら生活する人々が沢山いらっしゃいます。このような人々の生と死に関わる看護職の活躍の場は拡大し、多様化しています。

人間の尊厳を守り、人々の普遍的なニーズに応える看護師は、健康とは何か、幸福な生活とは何か、命や病とは何かなど、多くの課題と向き合い、自分自身の生き方と並行して、人を見つめるための視点を育む必要があります。そのため、看護の対象となる人間のからだの構造や機能、疾病の学修のみならず、人々の生活、文化的背景、人間の心理的・社会的発達段階など幅広い知識を活用し、適切な技術をもって豊かな人間性を育み看護を実践する力を身につけることが必要です。

慈恵看護専門学校は、明治18年教育所開設以来大切にしてきた、品位、礼儀、辞譲、温和な態度で看護を実践できる看護師を育成してまいりました。

本校は、隣接する東京慈恵会医科大学附属病院をはじめ地域の医療保健福祉施設で、経験豊富な臨地の指導者や看護教員の支援により、多くの学びを得られる環境が整っています。

看護を学ぶ志しと、人間に対する深い関心を持ち、看護実践者として社会に貢献することを希望する学生さんを心よりお待ちしております。  

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