緩和ケアとは
がんなどの病気になると、患者さんやご家族にはさまざまなつらさが現れます。それは、痛みや吐き気といった体のつらさだけでなく、心の落ち込みやイライラ、そして仕事の心配や経済的な悩みなども出てくるかもしれません。そうした「つらさ」は、一つ一つが別々の問題として存在しているのではなく複数の問題が関連していることが特徴です。そのような「つらさ」を、それぞれの患者さんやご家族にあった方法で取り除いていくことを「緩和ケア」といいます。緩和ケアは、日常のいろいろなところで行われているケアでもあります。主治医や担当看護師、相談部門などさまざまな医療スタッフが基本的な技術として提供しています。
緩和ケア室の当院における役割と活動内容
がん・非がんを問わず患者さんとその家族が持つ"つらさ"には身体面だけでなく心理的・社会的・実存的なものもあり、複雑に関連しています。緩和ケアは、そのつらさに焦点を当て、多職種のチームワークで解決していきます。
- ・つらさのスクリーニング(つらさの拾い出し)
- がんの診断・治療を受けている方の持つつらさを、外来・病棟の協力のもとスクリーニングして、対応方法を検討していきます。
- ・緩和ケアチーム
- 当院入院中の方とそのご家族のつらさを主治医・病棟スタッフと協力しながら問題解決していきます。
- ・緩和ケア外来
- がん・非がんを問わず患者さんとその家族が持つ"つらさ"に焦点を当て、主治医・担当外来スタッフと連携して治療します。当院通院中および他の医療機関通院中の患者さんに併診します。当院には緩和ケア病棟がございませんので、他院通院中の患者さんが入院を必要とするときは、紹介元の先生と相談させていただきます。
緩和ケア専門外来(予約制)
内科:第1・3水曜日9時〜12時
精神神経科:第1・3金曜日14時〜16時
- ・地域連携
- 地域の医療者と症例検討会・研修会などをとおして顔の見える関係を構築しています。地域の治療や療養環境に関する情報提供をしながらこれからの療養をどうしていくか、患者さん・ご家族と一緒に考えていきます。
入院患者さんに対する緩和ケアチームによる緩和医療の提供
様々な「つらさ」を抱える入院患者さんを支援するための専門チームです。問題を多面的に検討し、その方に適した症状緩和方法を見出すために多職種のメンバーで構成されていることが特徴です。担当医師や病棟看護師と連携を図りながらチームで支援していきます。
緩和ケアチームの役割
- からだの辛い症状の緩和(痛み・吐き気・息苦しさなど)
- きもちのつらさの緩和(不安・焦り・悲しみ)
- 経済的問題への支援(使える社会制度、仕事についてなど)
- 治療の意思決定支援
- 家族の支援
構成メンバーと役割
緩和ケアチームメンバー
- ・身体症状を担当する医師
- 主に痛みや息苦しさ、吐き気などのつらい症状を和らげる支援をします。
- ・精神症状を担当する医師、臨床心理士
- 主に不安や気分の落ち込み、不眠やイライラなどの症状を和らげる支援をします。
- ・看護師(専門資格を持った看護師が担当しています)
- 療養生活のすべての問題に関わり、必要な緩和ケアが行われるように調整を行います。
日々の生活が豊かになるような工夫を一緒に考えます。
- ・薬剤師
- 患者さん・ご家族に対して、鎮痛薬やその他の薬の情報提供や薬歴管理、服薬方法の説明など、薬が効果的に、安全に使用できるよう支援します。 医師や看護師に対して専門的なアドバイスも行います。
- ・管理栄養士
- 患者さんの状態に合わせて調理方法の工夫、食べ方の工夫などをすることで必要な栄養をおいしく摂ることができるよう支援します。
- ・理学療法士
- 痛みが少ない動き方や姿勢の取り方の工夫、身体を動かさないことによる筋力低下・寝たきりの予防、生活しやすくするための補助具の選定・使い方の指導や環境整備の支援など、リハビリテーションを通して苦痛を和らげ、日常生活の幅が広がるように支援します。
- ・医療ソーシャルワーカー(MSW)
- 療養にかかわる社会保障制度や経済問題、仕事や家族などの社会生活、療養先に関してご相談をお受けし、支援します。
- ・事務職員
- 医療・福祉の専門家がそれぞれの役割を果たすことができるよう、事務管理を担い、側面から緩和ケアチームを支援します。
緩和ケアチームの診療
患者さん・ご家族あるいは病棟の主治医・看護師などからご依頼をいただいた患者さんについて、毎週水曜日にチームで回診を行うとともに、その他必要に応じて診療を行っています。
緩和ケアチームの費用
当院の緩和ケアチームは緩和ケア診療加算、外来緩和ケア管理料の施設基準を取得しております。
入院中や緩和ケア専門外来で緩和ケアチームの診療を受けると、「緩和ケア診療加算(入院)および外来緩和ケア管理料(外来)」として定額の費用がかかります。
専門的緩和ケアをご希望の方へ
外部医療機関より緩和ケア外来受診を希望の方は主治医を通して医療連携室にご予約ください。
外来通院中・入院中に緩和ケア受診をご希望の方は、担当診療科の医師・看護師にお申し出ください。
詳しく知りたい方・どうしたら良いかわからない方はがん相談支援センターにもご相談ください。
がん相談支援センター電話:04-7167-9739 (月〜金)9時〜16時
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