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■1. 文献検索を始める前に
研究や診療をすすめていく上で、情報の収集と活用は不可欠です。
情報には一次情報と二次情報があります。
一次情報とは、新しい、オリジナルな研究成果や知見などの記録のことで、原著論文・学会抄録・学位論文・図書・各種研究報告書・特許などがあります。
二次情報とは、一次情報の所在などを一定の規則に従って並べて検索できるように加工したもので、一次情報にアクセスするための資料といえます。データベース・索引誌・抄録誌・文献目録・所蔵目録などがあります。二次情報は基本的に引用文献や参考文献に含まれません。
求める情報によって情報検索・収集の方法は異なります。教科書類やデータブックをみる、学会に参加する、新着雑誌をブラウジングする、二次資料をうまく活用して検索する、などの方法があります。
必要な文献の入手までの手順を、下図に簡単に示しています。
調査・研究のために必要な情報を明らかにする |
↓ |
必要な情報がどのような資料・媒体で提供されているのか調べる |
↓ |
必要な情報の掲載されている資料の所在・所蔵を確認する |
■2. 求める情報とそのためのツール
「Fisher症候群とはどんな病気か知りたい」「乳癌患者の数が知りたい」「糖尿病性腎症の最新の治療法について知りたい」、これらについて調べようとするとき使用するツールは、それぞれ異なっています。コンピュータでデータベースを検索しても得られない情報が、図書の索引から得られることもあります。新しい知見や研究が発表されない (ホットでない) 分野では論文が書かれにくいので、データベースで検索しても思わしい結果が出ないことがあるのです。
求める情報がどこでどのように提供されているのか、適切なツールを使って知ることで、情報を入手するまでの時間と労力を少なくできます。
a. 事項・データを調べる
「Fisher症候群はどんな病気か知りたい」「乳癌患者の数が知りたい」こういった事項についての情報は、図書やホームページから得ることができます。
1) 一般の図書を見る
知りたい事項が含まれる分野についての図書を見て、図書の末尾にもうけられている「索引」(Index) をひくことによって求める情報を見つけられる可能性があります。当図書館では、図書は五十音順などではなく、分野によってわけられて配置されています。直接該当分野の書架を見てみる、所蔵目録 (OPAC) で探したいテーマの言葉を入力して検索する、といった探し方ができます。
2) 参考図書を見る
「参考図書」とは、事項やデータの調査に役立つ資料として、一般の図書とは別に、1階閲覧室に集めて配置されている図書のことです。調べられる事項の種類によって「参考○」と番号がつけられています。
症候群事典や疾患名に関する本、がん取り扱い規約、診療ガイドライン (参考4)
医学用語辞典、各科の用語・略語辞典 (参考3)
団体・組織の住所録、人名辞典や研究者名簿 (参考6・7)
基準値、データブック (参考8)
人口動態統計や患者数・死亡・疾病などの各種統計 (参考9)
3) ホームページを見る
厚生統計や患者調査などのデータは、厚生労働省や総務省統計局のホームページ上で調べることができます。また、臨床研修病院に関する情報もインターネット上で提供されています。
→ 統計についてのリンク集へ
→ 臨床研修についてのリンク集へ
b. 特定のテーマについて調べる
特定の主題について書かれた図書にはたくさんの情報が盛り込まれています。すでに確立している知見や治療法・検査法などについては、図書から系統だった情報を得ることができます。ただし図書は、情報の発生から出版までに時間がかかるので、変化の多い領域の場合、すでに書かれている情報が古くなっていることがあります。新しい情報について知りたい場合は、雑誌論文を探します。
雑誌論文の探し方には、日頃から興味ある分野の新着雑誌の目次に目を通しておく (ブラウジング)、テーマを決めて索引やデータベースなどの二次資料を検索する方法があります。
1) 日本語の論文を探す-医学・生物学 (特集記事、医中誌Web)
日本語の雑誌論文を読みたい場合、最近のもの数編で十分なら、「特集記事」が役に立ちます。日本語の雑誌 (特に商業誌) では、一つのテーマについて特集が組まれ、何編かの記事がまとめて掲載されることがあります。
もっと網羅的に、あるいは絞りこんで検索したい、過去何年分か検索したい場合は、「医中誌Web」を使うことができます。テーマや著者名などから雑誌論文を検索することができるツールです。
「医中誌Web」は医学・薬学・歯学・看護学分野の雑誌論文を検索できるデータベースで、1959年から利用できます。
→ 文献の検索へ (図書館ホームページのQuickMenuから「医中誌Web」を選択してください)
2) 日本語の論文を探す-全般 (雑誌記事索引、CiNii Research)
医学分野以外の雑誌の記事についての調査には「NDL ONLINE」「CiNii Research」などを使うことができます。
「NDL ONLINE」は国立国会図書館が提供しているデータベースで、国会図書館が収蔵する学協会誌・紀要・専門誌等に掲載された記事の情報を検索できます。 (すべての収蔵雑誌の記事を検索することはできません)
「CiNii Research」 (NII論文情報ナビゲータ) は国立情報学研究所が提供しているサービスで、主に日本国内の学協会刊行物・大学研究紀要などの学術論文情報を検索できます。
→ NDL ONLINE へ
→ CiNii Research へ
3) 外国語の論文を探す-MEDLINE、CINAHL、SciFinder
外国語の雑誌論文の場合、「MEDLINE (OVID版,PubMed) 」「CINAHL」「SciFinder」といったデータベースで、テーマを表すキーワードなどから探すことができます。
「MEDLINE」は医学分野における中心的なデータベースで、インターネットなどを媒体として提供されています。MEDLINEの製作元である米国国立医学図書館が提供しているPubMedは、無料で、毎日更新される速報性があります。MEDLINE (OVID版) では入力した言葉に対してキーワード (索引語) が提示されるのでそこから適切な検索語を選ぶことができます。同じデータベースでも、媒体によって、提供者によって、さまざまな特色があります。
「CINAHL」は看護分野の雑誌論文の他、図書・パンフレット・クリティカルパスなども検索できます。
「SciFinder」は化学分野のデータベースで、世界最大の抄録誌である「Chemical Abstracts (CA) 」の情報を検索することができます。
→ 文献の検索へ (図書館ホームページのQuickMenuから「OVID」「PubMed」「CINAHL」「SciFinder」を選択してください)
4) 範囲を広げて論文を探す-オンライン・データベース
上記以外に、有料で提供されているさまざまなオンラインデータベースを利用して検索することもできます。
データベースの種類などについては図書館員にご相談ください。
c. インパクトファクターを調べる
インパクトファクター (IF) とは、ある雑誌に掲載された論文が平均どのくらい引用されるかを示す数値で、雑誌の影響度を表すといわれています。
IFの計算方法は次のように、過去2年間に引用された回数を過去2年分の論文数で割った数値となります。
2011年の = 2009年および2010年に発表された論文が2011年に引用された回数 / 2009年と2010年の掲載論文数の合計
IFを調べるには「Journal Citation Reports (JCR)」を使用します。
JCRには外国雑誌を中心に8,000誌以上の雑誌が収録されています。
IFは毎年計算され、6月末頃に前年分が追加されます。
「JCR」は2000年から検索することができます。→ 文献の検索へ (図書館ホームページのQuickMenuから「Journal Citation Reports」を選択してください)
d. Evidence-Based Medicine (EBM) の手がかりを得る
EBM (根拠に基づく医療) という概念が重要視されており、EBM実践に役立つ資料も出版されています。
「ACP Journal Club」は主に内科領域の特定の雑誌に掲載された優れた論文を、1ページにまとめレビューした要約集です。「Evidence-Based Medicine」は外科・小児科・産婦人科といった領域にも雑誌の範囲を広げた同様の要約集です。「Question」「Objective」「Design」「Main results」といった統一された項目の下に、各論文の構造が整理されて把握しやすくなっています。レビューされる論文の選択にあたっては、試験の方法やデータの取り扱い方などが一定の基準を満たしているかという条件も問われています。
コクラン共同計画 (Cochrane Collaboration) は、世界的に広がっている、医療介入に関するプロジェクトです。最適な医療を実践するための根拠 (Evidence) を提供するために、臨床試験の結果などの情報を収集し、系統的にレビューした結果を「The Cochrane Library」というデータベースで提供しています。MEDLINEに含まれない情報や、英語以外の言語の情報も「The Cochrane Library」ではレビューされています。
これらは大学ネットワーク上で利用可能です。また、図書館では「ACP Journal Club」は1991〜1999年から (1991〜1994年はAnn Intern MedのSuppl.として製本)、「Evidence-Based Medicine」は1998年から、それぞれ冊子体を所蔵しています。
→ 文献の検索へ (図書館ホームページのQuickMenuから「The Cochrane Library」を選択してください)
→ 電子ジャーナルへ (図書館ホームページのQuickMenuから「電子ジャーナル」、次に「ACP Journal Club PLUS」「Evidence-Based Medicine」を検索してください)
■3. 引用文献の見方・探し方
求めるテーマについての情報が見つかると、そこに引用されている参考文献からさらに情報を入手することができます。引用文献は、引用されている情報の種類によって、また掲載している資料の規程によって、少しずつ書き方が異なっていますが、原情報へたどり着くために必要なデータを各項目から読みとることができます。
a. 雑誌論文の場合
Bloch MJ, Basile J. Defining the role of angiotensin receptor blocker therapy in Japanese persons with underlying vascular disease: the Jikei Heart Study. J Clin Hypertens 2007;9:576-9.
著者名 Bloch MJ, Basile J
論題 Defining the role of angiotensin receptor blocker therapy...
雑誌名 J Clin Hypertens
出版年 2007
巻数 9
ページ 576-9
各項目の順番が前後していることや、論題がはぶかれていることもあります。著者名・雑誌名・発行年・巻数・ページ数が、雑誌論文の同一性を判別し、探し出す最小限の手がかりです。
雑誌名は略誌名で書かれることがほとんどです。医学生命科学分野の雑誌の標準的な省略形は、米国国立医学図書館が製作元のMEDLINEで採用されている略誌名です。NLM Catalogにアクセスし、略誌名や正式誌名などを調べることができます。
ここで例にあげた記述のスタイルは、国際医学雑誌編集者会議で提案され、世界で広く受け入れられている「生物医学雑誌への統一投稿規程」(Recommendation for the Conduct, Reporting, Editing, and Publication of Scholarly work in Medical Journals 通称バンクーバー・スタイル) に基づいています。この統一規程では雑誌論文の他、単行書・会議録などの引用や二重投稿についても記述され、Lancet、New England Journal of Medicine、AMA発行のジャーナルなどが投稿規程にこのスタイルを採用しています。
→ 論文執筆に関するリンク集へ
→ NLM Catalogへ (MEDLINEで使用されている略誌名を探せます)
b. 図書の場合
1) 図書全体が引用されている場合
Kronenberg HM. Williams textbook of endocrinology 11th ed. Philadelphia: Saunders/Elsevier; 2008.
編著者 Kronenberg HM
書名 Williams textbook of endocrinology
版 11th ed
出版地 Philadelphia
出版者 Saunders/Elsevier
出版年 2008
2) 図書の一部分が引用されている場合
Phillips SJ, Whisnant JP. Hypertension and stroke. In: Laragh JH, Brennner BM, editors. Hypertension:pathophysiology,diagnosis,and management. 2nd ed, New York: Raven Press; 2008. p.465-78.
引用した部分の著者 Phillips SJ, Whisnant JP
引用した部分のタイトル Hypertension and stroke
図書全体の編著者 Laragh JH, Brenner BM
書名 Hypertension:pathophysiology...
版 2nd ed
出版地 New York
出版者 Raven Press
引用した部分のページ 465-78
引用されている資料が図書かどうかを判断するには、出版地、出版者が記載されているかどうかなどがめやすになります。図書の引用で「In」とある場合、「In」以降が図書全体の出版データを表します。図書の編著者をあらわす「editors」は「ed」と略されたり、省略される場合もあります。基本的に章の著者やタイトルでは掲載されている図書について検索することはできないので、図書全体の編著者、書名で所蔵を確認します。
c. 会議録・予稿集の場合
1) 会議録全体を引用した場合
Crepaldi G, Tiengo A, Avogaro A, editors. The metabolic syndrome. Proceedings of the 9th European Symposium on Metabolism; 2006 Oct 12-14; Padua, Italy. Amsterdam: Elsevier; 2007.
編・著者 Crepaldi G, Tiengo A, Avogaro A
会議録が出版される際つけられた書名 The metabolic syndrome.
会議名・開催日時・開催地 9th European Symposium on Metabolism ・・・, Italy
出版地 Amsterdam
出版社 Elsevier
出版年 2007
図書になって出版されている場合、会議の開催と図書の出版年がちがうことがあります。
2) 会議録の中の一部分を引用した場合
Bengtsson S, Solneim BG. Enforcement of data protection, privacy and security in medical informatics. In: Lun KC, Degoulet P, Piemme TE, Rienhof O, editors. MEDINFO '07. Proceedings of the 7th World Congress on Medical Informatics; 2007 Sep 6-10; Geneva, Switzerland. Amsterdam: North-Holland; 2007.p.1561-5.
引用した学会発表等の著者 Bengtsson S, Solneim BG
引用した学会発表等のタイトル Enforcement of data...
会議録の編者 Lun KC他
会議録名 MEDINFO '07 7th World Congress on Medical Informatics
会議の開催日時・開催地 2007 Sep 6-10; Geneva, Switzerland
出版地 Amsterdam
出版者 North-Holland
出版年 2007
引用した学会発表等のページ p.1561-5
会議録等の出版データの書き表され方は、図書・雑誌にくらべて多岐にわたり判別しにくいですが、「Proceedings」「Conference」「Meeting」「Congress」といった言葉がふくまれていることが目印になります。またこういった会議録・予稿集は、参加者のみに配布されたり、雑誌のサプルメントとして発行されたりと発行形態もまちまちです。継続して所蔵されていることも少ないので、入手が困難になることもあります。
■4. 所蔵・所在を確認する
目的の図書や論文が見つかり、実際に本文を閲覧する場合は、書名や雑誌名からその資料がどこにあるかをOPAC (所蔵目録) などで探します。当館で所蔵している資料の場合は、所在 (書庫・閲覧室など) が表示されます。当館で所蔵していない場合は、他大学などから相互貸借でコピーや図書をとりよせることができますので、カウンターにご相談ください。
→ 当図書館の所蔵目録 (OPAC) へ
→ CiNii Books (全国の大学等の学術機関の所蔵目録) へ