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顔面けいれん・三叉神経痛

顔面けいれんは、片側の下部眼輪筋のけいれん、いわゆる目がピクピクする症状から始まり、徐々に、眼の周りから口元にまで広がります。さらに進行すると、首筋や耳、額にまで広がることがあります。逆に、10%以下ですが、口元から始まり、顔全体に広がることもあります。通常片側で、両側性は極めてまれです。また、長期間、けいれんが続いていると、けいれんのないときには顔面麻痺がみられることもあります。 原因としては、脳の血管(主に動脈)が顔面神経を圧迫することにより起こます。MRI・MRA検査による診断が有用です。神経と血管の関係を確認し、顔面神経のそばに血管をみつけることができれば、ほとんどの場合、この血管が神経を圧迫していると考えられます。


薬物治療

内服薬としては、抗けいれん薬の一つであるクロナゼパムがあります。


注射薬

ボツリヌス毒素(ボトックス)の局所注射で治療します。ただし、ボトックスの効果は数ヶ月程度でなくなるので、けいれんが再び起こりはじめると新たにボトックスを注射しなくてはなりません。


手術治療

神経血管減圧術という開頭手術を行います。この手術により根治的治療が可能です。顔面けいれんの病態は、血管(主に動脈、後下小脳動脈、前下小脳動脈)による顔面神経の圧迫なので、この圧迫を手術で取ると治まります。手術用顕微鏡下に圧迫している血管を神経から離して、再び血管が神経を圧迫しないように固定します。


(顔面痙攣の手術症例)


赤矢印が顔面痙攣の原因となる責任血管(椎骨動脈)で、脳幹から顔面神経の移行部(黄色矢印)を圧迫することで痙攣を引き起こしています。



画像所見通り、責任血管(椎骨動脈)(赤色矢印)が顔面神経(黄色矢印)を圧迫しており、責任血管を顔面神経から引き離すことにより痙攣が消失します。


 


(特発性)三叉神経痛

顔面の感覚神経である三叉神経の領域に、通常片側(左右どちらか)に発作性の数秒から数分続く激痛が繰り返して起こるものです。数週から数ヶ月にかけて断続的に続くこともあります。ある特定の部位を刺激すると痛みを誘発する誘発帯(Target point)という部分があります。ここを軽く刺激するだけで痛みが誘発されるところです。洗顔、髭剃り、歯磨き、咀嚼(そしゃく)などで誘発され、時には冷たい風にあたるだけで痛くなることもあります。また、齲歯(虫歯)の為の痛みと思い、歯科を受診し歯の治療をうけられる方もいます。


治療

治療としては、薬物治療、神経ブロック、ガンマナイフ、手術があります。薬物療法としては、カルバマゼピンが有用です。
手術は顔面けいれんの治療と同様にして行います。三叉神経を圧迫している血管(主に上小脳動脈)を神経から離して、再び神経を圧迫しない場所に固定します。顔面けいれん、三叉神経痛による悩み、不安を感じている場合、外来に来て頂き、お話を十分に伺いますので、その上で方向性を決めることをお勧めします。

 

(三叉神経痛の手術症例)


赤丸で囲んだ部分は責任血管(上小脳動脈)が神経を圧迫して三叉神経痛を引き起こしている様子が画像で示されております(左赤丸)。三叉神経は上小脳動脈と錐体静脈にはされるように圧迫されていたことが術中確認でき(中央赤丸)、上小脳動脈を三叉神経から引き離し、錐体静脈と三叉神経の間を剥離することにより三叉神経の圧迫が解除され、術後三叉神経痛は完全に消失しました(右赤丸)。

 


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