認知症とは「いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」を指します。つまり、後天的な脳の病気によって生じる知能の障害です。認知症はアルツハイマー型、血管性、レビー小体型、前頭側頭型などに分類されていて、もっとも多いのはアルツハイマー型認知症です。
認知症になると、物忘れが目立ってきます(記憶障害)。その他にも、しゃべりたい言葉が出てこなくなった(失語)、道に迷うようになった(失認)、ひとりで衣服を着られなくなった(失行)、段取りよく料理ができなくなった(実行機能障害)など、様々な生活への支障が生じてきます。
認知症の症状は徐々に進んでいくものの、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の場合は進行を遅らせる内服薬があります。また正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫に起因する認知症は、脳外科的な手術により改善することがしばしばあります。それだけに、認知症が疑われた時は、早めに受診していただくことが大切です。正しい診断に基づく医療と適切な介護福祉サービスが結び付けられることで、本人の活動性を保ち、ご家族の介護負担を軽減することが可能です。
センター長
布村 明彦