ご挨拶
東京慈恵会医科大学大学院医学研究科看護学専攻は、2009年に修士課程(現在の博士前期課程)、2019年には後期課程の教育を開始いたしました。 博士前期課程には「基盤創出看護学分野(看護管理学)」、「先進治療看護学分野(クリティカルケア看護学・がん看護学)」「母子健康看護学分野(母性看護学・小児看護学)」「地域連携保健学分野(老年看護学・精神看護学・地域看護学・在宅看護学)」の4つの分野があり、「看護学研究論文コース」と「高度実践研究コース」のどちらかを選択できます。「高度実践研究コースは、「クリティカルケア看護学」「がん看護学」、「在宅看護学」、「小児看護学」に設置され、専門看護師の育成を担っております。博士前期課程は、広い視野に立って精深な学識を教授し、専攻分野における研究能力又はこれに加えて高度な専門性が求められる職業を担うための卓越した能力を培うことにより、高度に専門化した知識と技術を備えた看護の高度職業専門職を養成することを目的としています。
博士後期課程は、「実践開発看護学分野」を設置し、「基盤創出看護学」「先進治療看護学」「予防推進看護学」「地域包括看護学」の4つの領域において、看護学及び看護実践の発展に貢献できる優れた教育者、管理者、研究者の養成を主眼として、看護学における高度な研究能力と、人間中心の最善の看護を提供できる人材を教育する能力を養い、その基礎となる豊かな学識を深めることを目的としております。
人生100年時代と言われるようになった今日、看護職者(保健師・助産師を含む看護師の総称)のキャリア選択も多様となりました。生涯をとおして一つの組織で仕事を継続することはむしろ少なくなっており、自身の発達課題や家族の状況、社会の要請などに合わせて働く場を選択しながら生涯をとおしてのキャリアを形成するようになりました。そして、職業継続の過程で困難や課題に遭遇した時、実践の醍醐味を他者に伝えるための言葉を持ちたいと考えた時、自身のこれからの展望を考えた時など、大学院で学ぶことを選択する看護職者は毎年増加しております。日本の看護基礎教育が専門学校から大学での教育へと変遷を遂げつつある中で、学位取得を伴う卒後教育機関としての大学院教育も急速に発展し、日本における看護学研究の進化を支え、研究成果を通して看護実践の質向上に貢献しております。
本学の建学の精神は、創始者である高木兼寛の「病気を診ずして、病人を診よ」の言葉ですが、この精神が教育の中でも具現化され、看護学においては「病気を看ずして、病人を看よ」を含意しております。この建学の精神を基盤として、看護学専攻では、時代の流れに即した医療・看護における本質的な課題を見極め、その課題を探究し、看護実践の研鑽と看護学の発展に寄与できる優れた教育者、研究者、管理者の育成を目指しております。ご自身の新たな知を拓き、看護学の実践をとおして社会に貢献する強い意欲を持つ看護職の皆様をお待ちしております。