(大学について)
慈恵医大は、1881年(明治14年)に学祖・高木兼寛先生が開設した、成医会講習所
を起源としています。慈恵医大柏病院は、『病気を診ずして 病人を診よ』という建学
の精神のもと、患者さんの視点に立った全人的医療、患者さん中心の「説明と同意」
に基づいた質の高い医療の提供を追求しています。この思想は140有余年の歴史の中
で色あせることなく基本的精神として受け継がれ、現在もなお教職員の中に浸透して
います。「病気を診ずして 病人を診よ」という建学の精神は、これらの歴史的背景を
簡潔かつ明瞭に表現されたものであり、教職員、同窓はもとよりさまざまな広報を通
じて、広く社会にも知られています。
私達は、この理念のもとに高い倫理観を持ち、つねに患者さんの立場を尊重しなが
ら「病者を病に悩む人間とみる医風」を実証し続けています。 また、「医師と看護婦
は車の両輪の如し」との信念に基づき、わが国最初の看護婦教育所を1885年(明治18
年)に設立し、建学の精神に則った全人的医療を開始しました。
(当院の場所)
東京慈恵会医科大学附属柏病院は上野駅より常磐線にて約30分の北柏駅から徒歩10
分(バスにて3分)の地に1987年に開設され、手賀沼を望む緑豊かな田園風景の広が
るのどかな環境の中にあります。2015年3月にはJR上野東京ラインが開通し、都心か
らのアクセスも一層便利になりました。
(当院の使命)
慈恵医大柏病院の使命は、『“患者を診る”慈恵の心とともに、急性期医療を推進し
地域に貢献する大学病院』であり、それは持続し進化を続けるビジョンでもあります
。東葛地域やその周辺地域に貢献する基幹病院として急性期医療を実践するとともに
、大学病院として研究を推進し、教育を通じ優れた医療人の育成も重要な役割である
と考えております。
(当院の特徴)
当院は1987年4月、千葉県柏市より大学病院誘致の要請を受け、手賀沼を望む緑豊
かな地に、慈恵医大4番目の附属病院として開設し、本年で35周年を迎えます。西新
橋の附属病院(本院)に次ぐ664の病床を有しており、29の診療科と12の中央診療部
門を持ち、1,300人以上のスタッフが勤務しています。毎日平均1,400人の外来患者さ
んを受け入れ、年間約8,000件の手術を実施し、2,200件の新規がん患者さんを登録
、8,200人の救急患者さん、4,500台の救急車を受け入れています。
これまでに当院は災害拠点病院、東葛北部地域難病相談支援センター、地域がん診療連携拠点病院、救命救急センター、エイズ治療拠点病院、地域医療支援病院の指定を受け、多種多様な役割を担う大学病院に変革を遂げてきました。地域医療連携と急性期医療の推進とともに、医療安全と新型コロナウイルス感染症など新興感染症の対策、ロボット支援手術をはじめとした先進的医療に取り組み、患者さんの健康のために役立つ医療に貢献してまいります。
(研修について)
当院の研修プログラムは、必修科目、選択必修科目、地域医療研修、選択科目から構成され、選択科目期間においては慈恵医大附属4病院で研修が可能です。平成28年度からは、他の慈恵医大附属3病院に先駆けて総合診療能力重点研修プログラムを加え、地域医療に貢献できる医師の育成にも力を入れています。
また、研修医主導の勉強会が毎週開催され、必修科の指導責任医師との意見交換会が隔月開催されるなど、研修医の意見、要望を随時取り入れ、研修カリキュラムに生かす配慮がなされています。研修医向けに院外施設を利用した外科実技研修をはじめ、院内で開催されるCPC、各科カンファレンス、セーフティマネジメント、感染対策、保険診療、緩和ケアなどの講習会にも参加できます。各診療科の指導医がいるスタッフルーム内に研修医の各個人ごとの机が用意され、指導医と常に連携がとれる環境が整備されています。
2年間の初期臨床研修の後は、各志望科の認定専門医資格の取得を目標とする慈恵医大での3年間の後期専門修得コース(レジデント)にスムーズに移行することができます。
ここ数年にわたる、病院メインエントランスの改築、新病棟や外来手術センターの開設、電子カルテシステムの導入、外来棟や管理棟の建設および手術室等の改修などの大規模な整備工事の結果、病院機能も格段と向上しました。
このような不易流行のなかで人々の健康のために医学・医療の発展を目指し進化し続ける柏病院において、プライマリ・ケアを実践するための基本的な臨床能力と総合的な診療技能の修得を目指して、厳しい中にも楽しく充実した初期臨床研修の2年間を過ごしていただきたいと思います。