令和6年10月
学長 松藤 千弥
令和6年10月現在における、本学での動物実験に関する現状を以下にご報告いたします。
1.規程及び体制等の整備状況
(1) 規程及び体制等の整備状況
平成18年度文部科学省基本指針、平成18年度学術会議ガイドライン、ならびに平成18年度動物愛護法に適合する機関内規程を定め、平成19年9月1日より施行しています。
(2) 動物実験委員会について
動物実験規程に基づいて、動物実験委員会を平成19年5月1日に設置しました。本情報公開日現在、基礎医学、臨床医学、ならびに人文系の教員から構成された16名が委員を務めています。これらの委員は、動物実験等に関して優れた見識を有するもの、実験動物に関して優れた見識を有するもの、および、その他学識経験を有するものから構成されています。
(3) 動物実験の実施体制について
動物実験規程に基づいて、動物実験計画の審査を実施しています。独自に製作し、平成27年6月より稼働している動物実験計画審査申請システムにより、動物実験計画における申請・審査・承認、ならびに、中止・終了等の報告など関わる手続き全般を電子システム上にて管理しています。また、教育訓練の受講および申請状況を含む申請者の情報、および、実験計画の情報をデータベース化し、各種情報の適切な管理および活用を可能にしています。
(4) 安全管理に注意を要する動物実験の実施体制について
基本指針に適合し、安全管理に注意を要する動物実験の実施体制を定め、実施しています。遺伝子組換え実験、感染動物実験等を含む計画は、それぞれの専門の委員会における審査と学長の承認を受けるまでは、動物実験が承認されても実験を開始できないよう定めています。計画は、遺伝子組換え実験安全対策委員会規程と東京慈恵会医科大学における遺伝子組換え生物等の使用に関する安全規約および各内規、ならびに、病原体等安全管理規程と病原体等安全管理規程運用細則に則って実施されています。また、動物実験実施者や実験動物飼養者等あるいは飼育環境に有害な影響を及ぼす懸念のある実験については、使用する特定化学物質や発がん物質、有害性重金属、変異原性物質ごとに曝露・拡散の防止方法や廃棄方法等の詳細も実験計画内に登録しています。
(5) 実験動物の飼養保管の体制について
動物実験を行うまたは実験動物を飼養保管する各研究単位(教室、研究室等)には、管理者および実験動物管理者を置いています。動物実験を行うための飼養保管施設、および、動物実験室(48時間以内の実験)を、所定の書式によって管理者が申請し、動物実験委員会が所定の実地調査を行ったうえで、必要があれば改善を命じ、十分な設備であると認定された施設のみ、学長からの承認が得られるよう規程で定めています。承認のない施設では一切動物実験を行うことができないことを定めています。一方、動物実験計画審査申請システムによって、管理者が、それぞれの管理する施設等で適正な動物実験が行われることを確認できるように、管理する施設等を用いる動物実験計画について通知を受け、研究計画内容の開示を求められるようにしています。これらの対応により、動物実験の適正な管理と実施の透明性を確保しています。
2.実施状況について
(1) 動物実験委員会
動物実験委員会は、通常の計画審査業務をインターネットによる完全な電子申請システムを用いて行い、その全記録はシステム上により一元管理(データセンター管理)されています。動物実験計画審査申請システムによる動物実験計画の審査、飼養保管施設実地調査報告書あるいは(動物)実験室実地調査報告書による施設等の実地調査、教育訓練の定期的な実施、また委員会議事録ならびに電子メールによる委員会電子記録によるそれらの方針における意思決定など、委員会の役割を果たしています。 このような委員会による意見投票、可否投票等は24時間行われており、頻度の高い密な意見交換と討議が行われています。
(2) 動物実験の実施状況
動物実験計画の立案、審査、承認、結果報告が規程に基づいて実施されています。
令和5年度の承認計画件数は下記3.関連資料のとおりです。
承認時に届けられた実験期間が過ぎた動物実験計画については、結果の報告を計画の終了時に、動物実験責任者に終了報告書を提出するよう義務付けています。また、承認時に届けられた実験期間中に中止される動物実験計画については、結果の報告を計画の中止時に、動物実験責任者に中止報告書を提出するよう義務付けています。
(3) 安全管理を要する動物実験の実施状況
「東京慈恵会医科大学実験動物飼養保管施設等における防災マニュアル」「実験動物逸走防止及び逸走時の対応マニュアル」ならびに「東京慈恵会医科大学実験動物由来の創傷及び疾病対策マニュアル」を制定し、動物実験を行う実験者・責任者に周知徹底しています。万が一事故が発生した場合、定められた書式の「東京慈恵会医科大学動物実験事故報告書」を提出していただき、それに基づいて万全の対策を練ることとしていますが、規程施行時から現在までにおいて、事故は発生しておらず、安全に動物実験が実施されています。遺伝子組換え実験および感染実験については、当該委員会との情報共有と連携により事故なく実施されています。
(4) 実験動物の飼養保管状況
各飼養保管施設において、管理者の責任のもとで適正な飼養保管が行われています。各動物種の飼養保管状況については毎年度統計をとり、下記の関連資料として公表しています。
(5) 施設等の維持管理の状況
機関内の飼養保管施設は、管理者(各施設施設長が担当)の責任において、適正に維持管理されています。
(6) 教育訓練の実施状況
毎年、文部科学省基本指針および実験動物飼養保管等基準に則した講義形式の教育訓練を行っておりましたが、令和2年度よりe-learningを活用した形式となり、随時受講が可能となりました。教育訓練の講義は、動物実験委員会委員長ならびに獣医師の資格を持つ委員が担当しています。受講者名簿を作成し、受講者には受講証を発行しています。受講済登録者のみが動物実験計画審査申請システムからの計画申請ができるようシステム上で管理しています。
一方、医学教育の一環として動物実験を含む学生実習を行うにあたり、学部学生を対象とした教育訓練も行っています。また、令和4年度に学内規程(動物実験規程)を改訂し、受講証の有効期限を4年を超えない年度末としました。
(7) 外部検証について
平成29年12月に外部評価委員による動物実験に関する検証を受審しました。検証結果は、文部科学省「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」に従い、下記3.関連資料に公表しています。